こんにちは

3連休ですね
東京は桜が綺麗に咲いています
コロナの影響で外出自粛モードになっているのが少しもったいない…ですが、健康が一番ですのでお気をつけください。

仕事についてですが、2回目(2部署目)の内部監査が迫ってきました。
上司と監査の具体的な進め方を協議している段階です。2回目ですが、手探り状態です

さて、今日は近年話題の「退職代行」について考えてみたいと思います。

以前、同僚から、雑談の中で、私がインハウスとして入ったことでうちの会社でも退職代行業ができるのでは、との話が出たので、興味がありまとめてみました。


1 退職代行とは


退職代行(サービス)とは、wikipediaによれば

「依頼者の退職の意思を依頼者に代わって会社に伝え、退職を支援するサービス」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%80%E8%81%B7%E4%BB%A3%E8%A1%8C%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

とあります。
会社に、辞めたいけど辞めると言えない方たちにとって需要のあるサービスとなっています。


2 そもそも何が問題なのか


何が問題かを考えるうえで、まず弁護士法の規定を確認する必要があります。
弁護士法第72条を見てみましょう。

第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

いわゆる「非弁行為」というものです。


3 ポイント


(1)「弁護士又は弁護士法人ではない者」


規制対象は、「弁護士又は弁護士法人ではない者」です。

退職代行を行うものが「弁護士又は弁護士法人」であれば何の問題もありません。
そうではない、一般の会社であるような場合に初めて問題となります。

例えば、会社でインハウスを雇っている場合であっても、契約当事者が当該会社であれば、「弁護士又は弁護士法人ではない者」に変わりはないので、この規制に服することになります。


(2)「報酬を得る目的」


退職希望者から金銭を得る目的であれば、この要件には当然該当することになるでしょう。


(3)「法律事件に関し」


会社と退職希望者との間に紛争がなければ、「法律事件」とはいえないという議論があるようです。

しかし、退職希望者は、一方的に会社を辞めようとしているわけなので、そこに紛争性があることは否定できないでしょう。したがって、ここの要件も別段問題にはならないと考えられます。


(4)「法律事務」


ア 定義

「法律事務」とは、法律効果を発生、変更させること(法律行為)についての事務処理をいいます。

イ あてはめ

(ア)退職の意志表示を代わりに伝えることは・・・

例えば、退職代行業者が、退職希望者に代わり、退職の意志表示をしたとします。

民法上、退職の意思表示をすれば、雇用契約関係終了の法律効果を生じます(民法627条1項、628条)。

※条文
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
・・・
第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
・・・

すなわち、退職の意思表示を、本人に代わり会社に伝えることは、法律効果を発生させる事務を扱うことになり、「法律事務」にあたる可能性が高いのではと考えます。

(イ)実際に行われていることは・・・

一部の退職代行業を行われている会社のサイトなどをみると、

・退職代行業者が、まず、会社に対し、本人に退職の意向があることを電話で伝える
・その後、退職届は本人から出させる

というふうにされているようです。

退職届は本人から出させている(退職の意志表示は本人がしている)という理解を前提に、退職代行業者はその前段階の、退職の意向を事実上相手会社に伝えているのみ、という建付けのようです。

「法律事務」に当たるといわれないように上手く工夫されているな、という印象です。

ただ、これが「法律事務」に当たらないと言えるか否かは、(私が知る限り)裁判例も出ていないので何とも言えません

もっとも、例えば、退職の意向を伝えることに加えて、退職代行業者が残業代や退職金の交渉を代わりに行うなどをすると、これは明らかに「法律事務」に当たります。

ここまで「やります!」と言っているような退職代行業者がいたとすれば、違法行為を目的とした会社ですので、お気をつけください。


4 終わりに


弁護士の立場からすれば、弁護士であれば退職の問題も含め、残業代、退職金その他の法律問題もまとめて代理して会社と交渉できるので、弁護士に依頼されるのが良いと思っています。

違法行為を行う退職代行業者に依頼すると、問題がさらにこじれる可能性があるので、よく注意してください。


それでは